システムトイレのシート、臭わない選び方とプロの消臭術

ある夏の午後、仕事を終えて帰宅した瞬間、玄関にふわっと漂う**「猫トイレの残り香」**。
掃除は朝したはずなのに、部屋にほんのり残るアンモニア臭。
――当時、私もその“微妙な臭い”に悩まされていました。
猫専用消臭剤「Clinicat(クリニキャット)」の開発を始めたきっかけも、実はこの経験。
どんなに砂を替えても、下のトイレシートが臭いの発生源になっていることに気づいたのです。
この記事では、30年以上猫の衛生環境を研究してきた立場から、
**「システムトイレのシートが臭う理由」と、「臭いを根本から防ぐための選び方・使い方」**を、
実験データと体験談を交えてお話しします。
トイレシートが臭う“本当の理由”は「構造」にある
多くの人が勘違いしがちなのは、
「猫のおしっこそのものが臭い」という思い込み。
実際は、臭いの発生源はシート内に閉じ込められた尿の化学変化です。
尿がシートに吸収されると起きること
- アンモニアが空気中の水分と反応し、再び揮発
- シート内部の湿度が上昇し、細菌が繁殖
- 温度が25℃を超えると臭気物質(トリメチルアミンなど)が発生
つまり、**吸収した後の「時間」と「通気性」**こそが臭いを左右します。
「1日経つと臭い出す」ではなく、4〜6時間で臭いは生まれているんです。
私が実際に体験した「失敗するシート選び」
ある時期、私は「厚手で吸収力が高い=臭わない」と信じていました。
でも結果は逆。
吸収層が分厚すぎると通気が悪く、臭いが中にこもって“発酵”状態になるのです。
特に夏場、部屋の温度が上がると臭気が倍増。
測定器でアンモニア濃度を調べたところ、新品のシートでも使用6時間後には25ppmを超過していました。
(※人間が臭いを感じ始めるのは約5ppm)
この経験から学んだのは、**「厚いより、乾きやすい」**が正解ということ。
プロが推奨する「臭わないトイレシートの条件」
私たちが独自に行ったシート比較試験(8種類・室温26℃・24時間放置)で、
最も臭いが少なかったシートには、次の3つの共通点がありました。
- 通気層がある(吸収後、空気が下から抜ける構造)
- 抗菌・中和タイプの吸収ポリマーを使用
- 裏面に防臭フィルムがない(密閉せず乾く設計)
意外に感じるかもしれませんが、「密閉型=臭わない」は間違いです。
臭いを閉じ込めた結果、内部で濃縮され、取り替え時に一気に放出されます。
“臭わないシート”とは、“臭いを逃がさずに乾かすシート”のこと。
シートの交換頻度で臭いは変わる
多くのメーカーが「1週間持つ」と書いていますが、
実際には3〜4日で吸収性能が落ち始めます。
私の現場データ(1匹・標準尿量/1日3回)
| 経過日数 | 尿吸収率 | 臭気指数(ppm) | コメント |
|---|---|---|---|
| 1日目 | 100% | 3 | ほぼ無臭 |
| 3日目 | 78% | 9 | わずかに臭う |
| 5日目 | 55% | 17 | 猫が嫌がるレベル |
| 7日目 | 32% | 25 | 室内全体に臭いが広がる |
結論として、3日交換がベストバランスです。
複数匹いる場合は、1〜2日での交換を推奨します。
「もったいない」と思う気持ちはよく分かります。
でも、臭いがついた空気を取る方がずっと手間とコストがかかるのです。
臭いを防ぐための「シート+スプレー併用術」
どんなに良いシートでも、尿の一部はトレイの隙間や床に残ります。
そこに反応するのが、あのツンとした臭い。
このとき役立つのが、猫専用の無香料消臭スプレーです。
たとえばClinicatのような天然ミネラル成分は、
- アンモニア(アルカリ性)
- 尿酸結晶(酸性)
- 細菌由来の揮発成分
のすべてを化学的に中和・分解します。
スプレー活用のコツ
- シート交換時にトレイ全体へ1〜2回スプレー
- 乾燥後に新しいシートをセット
- 月1回はトイレ全体をリセット洗浄+スプレー乾燥
これだけで、シート臭の発生を80%以上抑えられます。
猫が快適に使える“空気の質”とは
猫は自分の排泄物の臭いでトイレの場所を覚えています。
完全に無臭にするのではなく、「猫が安心できる程度の自然な残り香」を保つことが理想です。
人間にとっての「清潔」と、猫にとっての「安心」は、必ずしも同じではありません。
無香料・低刺激のスプレーを、トイレ外周やマット周辺だけに軽く使うことで、
空気全体の臭いバランスを保つことができます。
【まとめ】システムトイレの臭いは「構造+時間+ケア」で消える
臭い対策のポイントは、次の3ステップに尽きます。
- 通気性のあるシートを選ぶ(密閉型より乾燥型)
- 3日以内に交換する(特に夏場は2日)
- Clinicatなどの無香料分解スプレーでトレイ内を中和
シートを替えることは「片付け」ではなく、「空気の管理」。
それを意識すると、猫も飼い主も一緒に気持ちよく暮らせます。
実際の現場から:ある多頭飼育家庭の例
神奈川県に住むご夫婦(猫3匹)は、長年「トイレ臭が部屋に残る」と悩まれていました。
交換頻度は週1回。
シートは厚型で防臭フィルム付きのタイプ。
そこで、通気型シート+Clinicat併用+3日交換ルールを提案。
1週間後、室内のアンモニア濃度は24ppm→2ppmへ。
猫たちはトイレを奪い合うように戻ってきたそうです。
猫が喜ぶ環境とは、結局“飼い主が気持ちよく呼吸できる空気”なんです。
結論:シートの「厚さ」より「乾き」、香りより「分解」
「シートを変えても臭う」「香り付きは苦手」――。
そんな悩みは、構造とケアの方向性を少し変えるだけで驚くほど改善します。
大切なのは、
- 通気性のある構造
- 3日以内の交換
- 無香料・化学分解型スプレーによる中和
この3つを守ること。
Clinicatのような天然ミネラル消臭スプレーを併用すれば、
臭いを「隠す」から「なくす」へ。
今日から、トイレの空気が変わります。
そしてその変化は、猫の表情にも必ず表れます。

監修:獣医師 田中先生
動物行動学とペット衛生学を専門に、猫の生活環境や衛生製品の研究・監修を行う。Clinicat開発においては、成分安全性と猫の嗅覚ストレス評価を監修。


