猫が水を飲まないのは危険信号!飲ませるための工夫と注意点

猫と暮らしていると、「あれ、今日はほとんど水を飲んでいない?」と不安になる瞬間がありませんか。
私も30年以上、猫の衛生や生活環境に携わってきましたが、水分不足が原因で体調を崩すケースは本当に多いと感じています。
特に夏場やシニア期は、水を飲まない状態が続くと腎臓・泌尿器のトラブルにつながることもあります。
そこで今回は、猫が水を飲まない理由から、飲ませるためのコツ、そして注意点まで、現場で積み重ねてきた経験をもとに丁寧に解説します。
なぜ猫は「水をあまり飲まない」動物なのか?
ルーツは砂漠の野生猫にある
猫の祖先は砂漠で暮らすリビアヤマネコ。
その環境では水場が少なく、彼らは獲物の体内の水分だけで生きられる体質へと進化しました。
その名残で、現代の家猫も“もともと水をあまり飲まない”生き物なのです。
室内環境が原因になることも
ただし、明らかに飲水量が少ない場合は環境が影響していることも多いです。
- 水皿の位置が気に入らない
- 水が古い、ぬるい
- 食事がドライフード中心で飲みづらい
- 周囲の音や人の気配が気になる
- 多頭飼いで他の猫が気になり近づけない
心当たりはありますか?
「飲まない」のではなく、「飲みにくい環境だった」という例も数えきれません。
猫が水を飲まないと何が起こるのか?
腎臓への負担が増える
猫の腎臓はとても繊細です。
脱水気味の状態が続くと、老廃物をうまく排出できず、腎機能に負担がかかります。
尿が濃くなる → 下部尿路の病気リスク
特に雄猫は尿道が細く、尿が濃いと詰まりやすい特徴があります。
最悪の場合、命に関わる状態になることもあるため、水分摂取は健康の基盤です。
便秘の原因にもなる
水分不足は便が固くなる原因のひとつ。
シニア猫では、便秘から食欲低下・嘔吐につながることもあります。
猫が水を飲む量はどれくらいが目安?
一般的に、体重1kgあたり40〜60ml/日が目安と言われています。
(ウェットフードの水分は飲水量として換算されます。)
例:4kgの猫なら1日160〜240mlほど。
もちろん体調・食事・季節で変わるため、あくまで目安です。
猫に水を飲ませるための“効果があった方法ベスト8”
長年の現場経験から、本当に効果があった方法だけを厳選して紹介します。
1. 水皿の“場所”を変える
意外かもしれませんが、飲む量は置き場所の改善だけで増えることがあります。
おすすめは以下の場所:
- 部屋の四隅
- 人通りの少ない静かな場所
- ごはん皿の横ではなく2〜3m離れた場所
- 高さのある棚やテーブルの上
「飲みに行ける環境」を整えるだけで、行動が変わることが本当に多いです。
2. 1日2〜3回、必ず水を入れ替える
猫は“水の鮮度”に敏感です。
ほんのりぬるくなるだけで飲むのをやめてしまう子もいます。
3. 器を変えてみる
ステンレス・陶器・ガラスなど、材質で飲む量が変わることがあります。
おすすめは 匂い移りしにくい陶器・ガラス。
4. 流れる水(ファウンテン)を使う
「流れる水=安全な水」という野生の記憶から、ファウンテン型はよく飲む猫が多いです。
5. ウェットフードを取り入れる
ウェットフードは約70〜80%が水分。
「食べながら水分補給できる」という最強の方法です。
6. ドライフードに少量の水を足す
スープ状にすると飲む量が自然と増えます。
急に入れすぎると嫌がるため、小さじ1杯からスタート。
7. 氷を入れて好奇心を刺激する
好奇心旺盛な猫なら、氷をカラカラと入れるだけで水を飲み始めることがあります。
ただし、苦手な子にはストレスになるため様子を見ながら。
8. 多頭飼いなら器を複数置く
他の猫が気になって飲まないケースは意外と多いです。
頭数+1個の水皿が理想です。
それでも水を飲まない場合に疑うべきこと
「環境を整えても全く飲まない」
そんなときは、体調不良の可能性も視野に入れる必要があります。
注意したい症状
- 異常な元気のなさ
- 尿が極端に少ない
- 嘔吐を繰り返す
- 体が熱い
- 呼吸が早い
- 皮膚をつまんでも戻りが遅い(脱水のサイン)
一つでも該当する場合は、早めの受診をおすすめします。

まとめ:水を飲ませるのは“習慣づくり”がすべて
猫は本来、水を多く飲まない動物。
だからこそ、飼い主が「飲みやすい環境づくり」をしてあげることが何より大切です。
- 水皿の場所を見直す
- 毎日こまめに水を交換する
- 器を変えてみる
- ウェットフードを取り入れる
- 流れる水を利用する
この中のひとつでも取り入れるだけで、飲水量が増える猫は本当に多いです。
あなたの猫が、毎日しっかり水分を摂って健康でありますように。




