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猫の肥満は万病の元!原因と安全なダイエット方法

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夜、ソファに座っていると、うちの猫がのそっと膝に乗ってきた。
いつもの甘えん坊の時間…のはずが、最近どうも“重い”。
抱き上げると、手首にどっしり負荷がかかる感覚があった。

「ちょっと太った…?」
そう思って体を触ると、うっすら脂肪がついている。
30年以上猫の健康相談を受けてきましたが、
肥満は“気づいたときにはすでに悪影響が出ている”ことが多い問題です。

しかも、飼い主の前では普通に振る舞うから気づかない。
猫自身も体調の変化を隠してしまう。
その結果、肥満は静かに、確実に猫の体をむしばんでいきます。

この記事では、
猫の肥満の原因・危険性・正しいダイエット方法・やってはいけない減量法
を、実体験と現場での相談内容を交えながら、わかりやすく解説します。


猫の肥満が「万病の元」と言われる理由

太ることで体の中で何が起きているのか

猫の肥満を“ちょっと丸くて可愛い”で済ませてしまうと危険です。
肥満は、複数の病気と直結します。

① 糖尿病のリスクが大幅に上昇

脂肪が増える → インスリンの効きが悪くなる → 血糖値が下がらない。
特に中年以降の猫は発症率が急上昇します。

② 関節への負担

体重が増えた分、膝・腰・足首の関節が耐えられなくなります。
ジャンプしなくなった
階段を嫌がる
寝ている時間が増えた
これは“関節からのSOS”の可能性があります。

③ 心臓・呼吸器への負担

脂肪が胸周りにつくと、肺が十分に膨らみません。
少し動いただけで息が荒くなることも。

④ 膀胱炎・尿道閉塞

太って動かなくなる → 水を飲む量が減る → 尿が濃くなる。
これは冬場に特に多いトラブルです。

猫の肥満は、病気の連鎖反応を生むのです。


なぜ猫は太りやすいのか

“人間の暮らしやすさ”が猫には落とし穴になる

① 完全室内飼いで運動量が減る

外に出ないため、自然と運動量が少なくなります。
本来、狩猟による“運動 → 休憩”のサイクルがなくなり、カロリー消費が極端に減ります。

② フードの量を多めにしがち

「少しだけなら…」
「欲しがるから…」
この“甘さ”が肥満の大きな原因です。

現場では半数以上の飼い主さんが、実際に必要な量より1.2〜1.5倍多く与えている印象があります。

③ おやつ・ちゅーる依存

おやつは悪いものではありません。
問題は“頻度”。
猫は一度おいしさを覚えると欲しがる行動を繰り返しやすく、気づけば「おやつ>ごはん」になることも。

④ 避妊・去勢後の基礎代謝低下

ホルモン変化により太りやすい体質へ。
この時期の体重管理ができるかどうかが、その後10年の健康を左右します。


肥満の見極め方

“触って判断できる”のが一番正確

獣医師も使う判断基準「ボディコンディションスコア(BCS)」を簡単に説明すると…

① 肋骨が触れるか

触って“薄い脂肪の下に骨を感じる”状態が理想。
脂肪で覆われているなら太り気味。

② ウエストラインがあるか

上から見ると、横幅が少し“くびれる”のが正常。
くびれがなければ肥満のサイン。

③ お腹がタプタプ揺れるか

お腹の脂肪が揺れる“ポヨヨン”感は、典型的な肥満のサイン。

あなたの猫はどうでしょう?
ひとつでも当てはまった場合、ダイエットを考える時期です。


猫の安全なダイエット方法(基本編)

急に食事を減らすのは絶対NG

猫のダイエットで最も危険なのが、
「急にごはんを減らす」こと。

猫は絶食に極端に弱く、
肝臓に負担がかかる「脂肪肝」を引き起こす可能性があります。

① フード量は“5〜10%ずつ減らす”

一気に減らすのではなく、
1〜2週間かけて少しずつ量を調整します。

② 1日の回数を増やす(小分けに)

2回 → 3〜4回 にして、
空腹時間を減らすだけでもストレスが大幅に減ります。

③ 高タンパク・低脂肪のフードを選ぶ

猫は肉食動物なので、
高タンパク質は代謝を落とさず痩せやすい体を作るポイントになります。

④ 水分を増やす

ウェットフードの割合を増やす
ぬるま湯を混ぜる
複数の給水ポイントを作る
これらは代謝の改善にもつながります。


猫の安全なダイエット方法(運動編)

“遊び1回=運動1回”という考え方

猫は犬と違い、長時間走り続けることはありません。
数分の狩猟運動を積み重ねるのがベスト。

① 釣り竿タイプのおもちゃが最強

視覚・音・動きが揃い、最も猫が反応しやすい。

② 1日3回、3〜5分でOK

短くていい。
続けることが一番大事です。

③ 高さを生かした運動

キャットタワー
段ボール階段
テレビ台→棚→タワーへ移動
こうした“上下移動”は消費カロリーが高いです。

④ 食事前に遊ばせる

狩猟本能 → 運動 → 食事
という自然な流れになり、代謝が上がります。


ダイエット中にやってはいけないこと

猫の体調を守るための NG 集

① 一気に食事を減らす

脂肪肝の危険。

② おやつを完全に禁止しようとする

急な禁止はストレス増加。
→ “小分けに回数を減らす”のが現実的。

③ 無理に運動させる

抱っこして走らせるなどは逆効果。
猫が“狩りたい気分になる”環境づくりが重要。

④ ダイエットフードへの急変更

急な切り替えは下痢・嘔吐の原因に。
1〜2週間かけて徐々に切り替える。


ダイエットを成功させる家庭の工夫

継続できる仕組みが大事

① 家族全員で量を統一する

「ちょっとだけ…」
この“ちょっと”が積み重なり、肥満の原因になります。

② 食事量は毎日“同じスプーン・同じ器具”で

目分量は必ず誤差が出ます。

③ ダイエット記録をつける

体重
食事量
運動時間
簡単なメモでOK。
可視化すると改善点が見えます。


最後に:肥満を防ぐことは寿命を守ること

体重管理は“愛情のかたち”

猫は言葉で体調を伝えられません。
だからこそ、体重の変化は何より重要なサインです。

“丸くて可愛い”
その気持ちは痛いほど分かります。
私も昔、太った姿を「癒し」と感じてしまっていました。

でも、体重が増えるたびに、
関節、心臓、呼吸器、膀胱、肝臓——
猫の体には負担が積み重なっていきます。

肥満は、ただの見た目の問題ではありません。
寿命の長さ・生活の質を左右する重大な健康課題です。

今日の小さな工夫が、
5年後、10年後の元気な姿につながります。

あなたの猫が軽やかに走り、気持ちよく伸びをし、
いつまでも健康でいられるように——。
できることから、ゆっくり始めてみてください。

この記事の著者

ケンケン

1978年生まれ。現在は妻と2匹の猫と暮らしています。
食品メーカーで20年以上、製品開発に携わってきた経験を活かし、現在は猫と飼い主のための消臭剤の開発にも取り組んでいます。
猫との暮らしで感じた「におい」や「安心」への疑問を、ものづくりの視点からカタチにしています。
このブログでは、実体験をもとに、猫との暮らしがもっと快適になるヒントをお届けしていきます。

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