猫の粗相が止まらない…獣医が教える根本原因と今すぐできる対策

朝起きてカーペットの上を見ると、
そこに小さな“しみ”がある。
「またここか…」
掃除をしながら、つい小さくため息をつく。
私も、長年猫と暮らす中で同じ経験を何度もしてきました。
特に保護猫を迎えたころは、トイレを置いてもなかなか定着せず、
毎日のように「どこでおしっこをしたか」を探す日々。
けれど今ならわかります。
粗相は「失敗」ではなく、**猫からの“メッセージ”**なんです。
粗相は「怒るべきこと」ではなく「訴え」
粗相をしてしまうと、どうしても感情的になりますよね。
でも、猫は決して“わざと”ではありません。
トイレ以外でおしっこをしてしまうのは、
多くの場合「安心できない」「違和感がある」というサイン。
たとえば――
- 新しい家具を置いた
- 来客が続いた
- トイレを掃除したあとに匂いが変わった
- 砂の種類を変えた
人にとって些細な変化でも、猫にとっては“縄張りが変わった”くらいの大事件です。
猫にとって排泄とは、「安心を形にする行為」。
だからこそ、落ち着けない空間では、排泄場所も変わってしまうのです。
私が体験した「香りが原因の粗相」
数年前、うちの三毛猫・ミケが突然、寝室のラグで粗相をしました。
最初は「トイレが汚れていたかな」と思ったのですが、そうではありませんでした。
原因は“香り付きの消臭スプレー”。
掃除のあと、良かれと思って部屋にシュッとひと吹きしたその香りが、
ミケにとっては「違和感のある匂い」に感じられたのです。
それ以来、私は無香料で臭素分解型の「Clinicat」に変えました。
同じ“消臭”でも、香りをつけるのではなく“臭いのもとを消す”。
それだけで、ミケは再び落ち着いてトイレに戻るようになりました。
猫の世界では、「匂い=安心」。
匂いを奪うことは、居場所を失わせることでもあるのです。
トイレ以外でしてしまうときに見直すべきこと
粗相をやめさせようとするとき、
多くの人は「トイレを変える」「叱る」「匂いを消す」から始めます。
けれど、少し順番を変えるだけで結果は大きく変わります。
① まず、“猫の気持ち”を読む
猫が粗相する場所には、必ず意味があります。
静かな隅・飼い主の布団・玄関マット――。
そこは猫にとって「安心したい」「落ち着きたい」と感じる場所。
つまり、トイレをそこに近づけるのも一つの方法です。
② トイレの「匂い」を変えない
猫は清潔を好みますが、“完全な無臭”も嫌います。
洗剤や漂白剤の匂いが強いと、
「ここは自分の場所じゃない」と感じて避けてしまうことも。
私はトイレ掃除のとき、洗剤ではなくお湯+Clinicatを使います。
これなら臭いのもとだけを分解して、猫が安心できる空気を残せます。
③ トイレの「位置」を再確認する
意外と多いのが、トイレの“場所ストレス”。
人通りが多い廊下や、洗濯機の近くなどは避けましょう。
理想は「静かで風通しがよく、逃げ道がある場所」。
猫は閉じ込められた空間では、安心して排泄できません。
④ 叱らない
粗相を見つけた瞬間、「ダメでしょ!」と言いたくなる気持ち。
でも、それが猫にとっては“攻撃された”という恐怖に変わります。
すると、次から「見られない場所」で排泄しようとする。
これが隠れ粗相の悪循環です。
粗相は怒って直すものではなく、安心で溶かすもの。
⑤ 「安心の匂いゾーン」を作る
猫は、匂いで世界を把握しています。
お気に入りの毛布やタオル、飼い主の服の匂い。
そうしたものをケージやトイレのそばに置くだけで、
猫の不安は驚くほど和らぎます。
また、トイレ周辺にClinicatを軽くスプレーしておくと、
臭いの発生を防ぎながら、**「無臭=安心の空気」**を維持できます。
粗相を繰り返すときに考えたい“猫のメッセージ”
繰り返し粗相をする猫は、何かを伝えようとしています。
それは――
「ここは私の安心できる場所じゃない」
という、静かな訴えです。
私たち飼い主にできるのは、
叱ることでも、無理にしつけることでもありません。
環境を整え、空気を整えること。
猫は、安心できる空気の中で自然と正しい行動を取り戻します。
“空気の質”を変えることが、行動を変えるいちばんの近道です。
実際の現場で感じたこと
私はこれまで、保護猫施設や多頭飼いの家庭など、
数多くの現場を見てきました。
どの家にも共通していたのは、匂いがそのまま“安心の地図”になっているということ。
匂いが消えると不安が生まれ、
匂いが整うと、猫も落ち着きを取り戻します。
Clinicatのように“香りでごまかさない”スプレーを使うことで、
猫が安心して呼吸できる空気を作る。
それが、粗相対策の本質だと感じています。
まとめ:粗相を直すのは「空気」と「安心」
猫の粗相は、
- ストレス
- 環境の変化
- トイレの違和感
のいずれかで起きることがほとんど。
対策の基本は、次の3つです。
- 匂いのもとを完全に分解して消す(Clinicatのような無香料タイプ)
- トイレの位置・砂・匂いを変えすぎない
- 猫が安心できる**“自分の空気”**を残してあげる
猫は、清潔よりも「安心」を求めています。
あなたの優しさが、いちばんの消臭剤になるのです。

監修:獣医師 田中先生
動物行動学とペット衛生学を専門に、猫の生活環境や衛生製品の研究・監修を行う。Clinicat開発においては、成分安全性と猫の嗅覚ストレス評価を監修。
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